「ALSの方は動かないから褥瘡ができない」と思われがちですが、これは誤りです。 体が動かせないからこそ、同じ所に圧がかかり続けてできやすくなります。
のどや口の筋肉が弱り、自然に飲み込む力が落ちることで起こります。
体の病気とは別に、気持ちの面にも表れる困りごとです。
内容は大きく3つです。
体が動かしにくくなった方にも、痛みや筋肉のつっぱり(けいれん)はよく起こります。 多くの方が経験する困りごとで、見た目では分かりにくいこともあります。
ヘルパーが痛み止めを判断したり、薬を調整したりすることはありません。 「痛そうだ」「つっぱっている」と感じたら、その様子を看護師・ご家族に伝えるのがヘルパーの役目です。
体を動かす量が減り、食事の形も変わることで、便秘になりやすくなります。 お腹の張り、食欲の変化、表情のつらそうな様子に気づいたら伝えてください。
○ 深追いしない:お腹をどう揉む、下剤をどう使うといった対処はヘルパーの判断では行いません 深追いしない
よだれが増えている時は、こまめに拭く、タオルを替えるといった身の回りの世話はヘルパーもできます。 吸引器を使った対応は、吸引の研修(No.03で説明した認定証が必要な範囲)に入るので、資格のある人が行います。
褥瘡は、同じ部位の赤み・皮膚の様子の変化に気づくことが何より大事です。 体位変換(No.04)の後に、いつもと違う赤みや傷がないかを見る習慣をつけてください。
痛み・便秘・よだれ・褥瘡はよく起こる困りごと。ヘルパーは対処するのではなく、様子の変化に気づいて伝える。
内容は大きく3つです。
体を動かせない日が続くと、だるさを感じやすくなります。 気持ちが落ち込んだり、やる気が出なくなったりすることも少なくありません(これらはALSの方によく見られる困りごとです。2026年10月時点、出典:日本神経学会ALS診療ガイドライン2023)。
いつもと様子が違う、会話や文字盤でのやり取りが減った、といった変化は、気持ちの面の困りごとのサインかもしれません。 気づいたことは、小さな変化でも記録して伝えてください。
介助を担っているご家族にも、体力的・気持ち的な負担がかかっています。 ヘルパーが訪問している時間は、ご家族が少し休める時間でもあります。
ご家族の様子がいつもと違う時も、気づいたこととして事業所に伝えてよい情報です。
この単元で出てきた困りごとに共通しているのは、ヘルパーが治療や処置を行うのではなく、変化に気づいて看護師・ご家族・事業所に伝えるという役目です。 処置そのものは看護師・主治医が担います。
小さな変化でも「伝えていい」と思って大丈夫です。 迷った時に黙っているより、伝えて「それは大丈夫」と言われる方が、ご本人にとって安全です。
気持ちの面の困りごとも、ご家族の負担も、ヘルパーは気づいたことを伝える役目。処置は看護師・主治医が担う。
問1 体位変換の後、いつもと違う場所の皮膚が赤くなっているのに気づいた。最初にすることは?
問2 「ALSの方は体を動かさないから褥瘡はできない」という説明を聞いた。正しいか?
問3 最近ご本人の会話や文字盤でのやり取りが減り、表情も少ないように感じる。どうする?
出典:日本神経学会「筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」