透明な板にひらがなや、よく使う言葉を並べたものです。 ご本人とヘルパーの間に板を立て、ご本人が見ている文字をヘルパーが読み取ります。
声が出なくても、まばたきや表情のわずかな動きが残っていれば使えます。
視線の動きで文字を選ぶ「視線入力」も、この装置の一種です。
似た言葉ですが、文字盤・口文字は人と人の間でその場で行うやり取りです。 意思伝達装置は機械を使ったやり取りだと分けて覚えてください。
内容は大きく3つです。
まばたきの回数、目を閉じる長さ、わずかな指の動き。 「はい」「いいえ」の合図は、同じALSの方でも一人ひとり違います。
訪問に入る前に、必ずご家族・ご本人から教わってください。 自分の思い込みで「これがYESだろう」と決めないことが大事です。
○ よくある勘違い:前の訪問先と同じ合図だと思い込んで動いてしまう。方が違えば合図も違います ○ 関係する単元:No.04(介助の後に確かめる事)でも、同じ合図を使います
文字盤や口文字は、話せる人との会話よりずっと時間がかかります。 1文字ずつ拾うのに何十秒もかかることもあります。
ここで一番やってはいけないのが、途中で分かった気になって先に言葉を言ってしまうことです。 早く終わらせたい気持ちが出ても、最後の文字まで待ってください。 違う言葉を勝手に当てはめると、ご本人は最初からやり直しになり、余計に時間がかかります。
時間をかけて拾った言葉は、その場でメモに書いておきます。 次の介助者が同じ事をもう一度聞かなくて済みますし、聞き間違いがあった時に確かめ直せます。
合図は方ごとに違うので最初に教わる。急かさず、先読みせず、聞いた内容はメモに残す。
内容は大きく3つです。
一番シンプルな方法です。 「はい」なら1回まばたき、「いいえ」なら2回、のように決めておきます。 ただしこの決め方自体も、その方ごとに違うことがあるので、第1章①で教わった通りに使います。
透明な板にひらがなや、よく使う言葉(「痛い」「かゆい」など)を配置したものです。 板はご本人ごとに、使う言葉や並べ方を合わせて作られています。
ヘルパーは板を挟んでご本人の正面に立ち、ご本人の目線が板のどの文字を見ているかを読み取ります。 慣れないうちは、文字を指でなぞりながら「ここですか」と確かめるやり方もあります。
話す側が「あ・か・さ・た・な…」と行を声に出し、ご本人が合図(まばたきなど)で止めます。 止まった行の中で、今度は「あ・い・う・え・お」と音を声に出し、また合図で止めてもらうと、1文字が決まります。
○ やり方のバリエーション:読み手が母音の口の形を作って見せ、ご本人に子音だけ読み上げてもらう方法もあります。どちらを使うかはご家族に確かめます ○ 深追いしない:細かい手順のパターンまで覚える必要はありません。「声と合図で1文字を決めていく」という考え方だけ押さえれば十分です 深追いしない
体の動きがさらに少なくなると、わずかなスイッチ操作や視線の動きを機械が拾い、文章や音声に変えてくれる意思伝達装置を使う方もいます。 視線だけで文字を選べる「視線入力」も広がっています。
この装置は補装具(体を補う道具)として費用の補助があり、更生相談所の判定と医師の意見書を経て用意されます。 ヘルパーが操作方法を決めることはなく、使い方はご家族・担当者から教わります。
今使っている文字盤や口文字が、ずっと同じ形で使えるとは限りません。 体の動きが変わると、スイッチの位置や種類を変える必要が出てきます(支給後は平均14.7か月でスイッチの変更が必要というデータがあります。2026年10月時点、出典:日本神経学会ALS診療ガイドライン2023)。
ヘルパーとして覚えておきたいのは、今の方法が使えなくなっても、次の方法に進めば伝え続けられるということです。 「前より話しづらくなった」と感じたら、看護師やご家族に伝えて、相談員(No.08で出ます)につないでください。
文字盤・口文字・意思伝達装置は、体の動きに合わせて移っていく手段。今の方法が使えなくなっても、次の方法がある。
問1 透明文字盤でご本人に話を聞いている。目線が止まった文字がすぐには分からなかった。最初にすることは?
問2 初めて入る訪問先で、ご本人がまばたきを1回した。前の訪問先では1回まばたきが「いいえ」だった。どうする?
問3 口文字で言葉を聞き終えた。次に行うことは?
出典:日本神経学会「筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」Q&A9-5〜9-8/日本ALS協会「利用できる社会資源」https://alsjapan.org/system-available_social_resources/