体位変換や着替えを始める前に、ご本人へ「これから〇〇します」と声をかけます。 声をかけて、意思を確かめてから始めるのが基本です。どう声をかけ、どう意思を受け取るかは、No.05(後で出ます)で詳しく見ます。
No.02で見たとおり、呼吸器は回路・カニューレ・電源がつながっていてはじめて動きます。 体位変換や着替えは、体を動かす介助なので、その分、管や電源のつながりがずれやすい場面です。
だからこそ、介助そのものより、介助の「後」が重要になります。
次は、実際に在宅で起きた例です。 どれも、介助の後にもう一度確かめていれば、早く気づけた例です。
着替えや体位変換のときに、気管切開のカニューレが抜けてしまった例があります。 カニューレは、体の動きにつられて抜けることがあります。
No.02で見たとおり、回路が外れても、その先が布団やタオルでふさがれていると、アラームが鳴らないことがあります。 音で気づけるとは限らないので、介助の後は目で見て確かめます。
複数の人が介助に入っている現場で、「誰かが差し直しただろう」とお互いが思い込み、コンセントが外れたままだった例があります。
誰かがやったはずだと思うことと、実際に確かめることは別です。
○ これらはどれも、特別な場面ではなく、普段どおりの介助の中で起きています。だからこそ、毎回同じ順番で確かめる手順が必要になります
体位変換・着替えなど、呼吸器や管に近づく介助が終わったら、必ずこの順番で確かめます。
この順番を、毎回同じ順で見ることが大事です。 順番を決めておくと、慌てている時でも抜け漏れにくくなります。
5つのどこかで「いつもと違う」と感じたら、自分で直そうとする前に、看護師へ伝えます。 No.03で見たとおり、呼吸器の位置を変えてよいのは、医師・看護職員の立ち会いがある時だけです。
アラームが鳴った時にどう動くかの詳しい手順は、No.07でまとめて練習します。 ここでは、介助のたびに同じ順番で確かめる、という習慣をつけておきます。
○ 覚え方:顔色・胸の動き→固定→回路→呼吸器・電源。最初の2つはご本人、残りは機械と覚えると順番がぶれにくくなります
○ 関係する単元:No.02 人工呼吸器の基本とアラーム、No.07 アラーム・急変・停電の時の動き
「ALSの方は褥瘡ができない」と聞いたことがあるかもしれませんが、これは誤りです。 長く呼吸器を使っている方の中には、実際に褥瘡が起きた例もあります。
体位変換や着替えのときは、呼吸器や管だけでなく、皮膚の様子も見る機会になります。 赤み・皮膚の変化に気づいたら、記録して伝えてください。
体位変換・着替えの後は、必ず「顔色→胸の動き→カニューレ・マスクの固定→回路→呼吸器・電源」の順で確かめる。何か気になったら自分で直さず看護師へ。介助の前にはご本人へ声をかけ、意思を確かめる。皮膚の変化もあわせて見る。
問1 体位変換を終えた直後、まず確かめるのはどれ?
問2 着替えの後、呼吸器の電源ランプが消えていることに気づいた。正しい動き方は?
問3 介助を2人で行っている現場で、「もう片方がコンセントを確認しただろう」と思い、自分では確かめなかった。この考え方の問題は?
出典:大阪府「在宅人工呼吸器ハンドブック」(https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/23150/h25-02-3jinkokokyuki.pdf)/日本神経学会「筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」(https://neurology-jp.org/guidelinem/pdf/als_2023.pdf)(2026年10月時点)